LOGINシリウスは、八歳になり美少年具合に磨きがかかる愛息のオリオンと、第四子妊娠中で安定期に入ったナディアを連れて、侯爵になった兄ジュリアスに頼み、領地のブラッドレイ侯爵家で行われるお茶会に参加させてもらうことにした。 そのお茶会は貴族が主な参加者だが、兄ジュリアスと違って平民であるシリウス一家は、兄の家族枠とでも言うべきか、有り体に言えば縁故枠として特別に入れてもらった。 お茶会には平民の商人も混ざっていて、同じく平民であるシリウスたちがいてもそこまで白い目で見られることもなく、また、英雄と評されることもあるジュリアスの威光の影響もあってか、ジュリアスの実弟一家ということで、参加者たちには概ね温かく迎え入れてもらえたと思う。 シリウスがジュリアスに、「貴族の催しに自分たちも混ぜてほしい」と頼んだのは始めてだった。 ナディアには、「貴族のお茶会? マナーわからないけど?」と言われたが、妊婦だから飲めない食えないと通せば大丈夫だと言い、二の足を踏んでるところにお腹を締めつけないタイプの綺麗なドレスを着せて、「オリオンのためだから」と説き伏せ、無理矢理参加することを了承させた。 四歳の無邪気な双子たちは、平民が走り回って場を引っ掻き回したらまずいと思い、調子のよい母のロゼとシオンに任せてきた。 貴族向けのパーティ参加が初めてのオリオンは、会場に入るなり華やかな雰囲気にキョトンとしていたが、走り回ることもなく、シリウスの言いつけ通り行儀よくできていた。 オリオンは最初は緊張もしていたが、会う度によく可愛がってもらえる伯父のジュリアスや、遊び相手の従兄ジュライもいたので、次第に緊張もほぐれたようだった。 お茶会には、子供の――とりわけ女子の――姿がわりと多かった。なぜならば、ジュリアスとその妻フィオナの息子で、ブラッドレイ侯爵家嫡男であるジュライの婚約者候補に名乗りを上げようと、貴族たちがこぞって年齢の見合う娘を参加させていたからだ。 今回のお茶会の趣旨はジュライの婚約者選び、というわけではないが、国民からの人気も高いブラッドレイ侯爵家と縁続きになりたい家はそれなりに多いようだった。 お茶会が始まるなり、ジュリアスに似たイケメン少年ジュライは同じ歳くらいの令嬢たちに揉みくちゃにされかけたが、すぐに脱兎のごとく逃げ出していた。 ジュライの後を追って令嬢たち
オリオンが生まれてから八年が経った。 ナディアとの間には長男オリオンとの後に男女の双子を授かっている。 双子は四歳になり、現在ナディアは第四子妊娠中で、シリウスの計画通り子沢山街道まっしぐらだった。 ブラッドレイ邸にはレオハルトやジークオルトもいるから、常に子供の声が絶えずに煩いくらいで、ナディアも子供に囲まれて幸せそうではあるものの、日々忙しくしている。 十五歳になり年々大人びて女子力を高めつつあるシオンがよく手伝ってくれるので、助かっているそうだ。 母ロゼは自身と同じように子だくさんになりつつあるナディアの体調を何かと心配していて、孫の面倒を見なければと奮い立ってもくれていて、一時期よりは塞ぎ込むことも減り、番のいない日常を受け入れて生きているようだ。 シリウスは、メロディとルーファウスと名付けたその姉弟が、シドの処刑の日に『未来視』で視た、父アークと母の間に生まれるはずだった子供たちなのではないかと、どうしても思えてしまって、あの時視た『未来視』の通りに、時折複雑な気持ちで双子を見つめている自分がいることに気づく。 シリウスの中では、あの時に自分が『未来視』をすべて把握することができてさえいれば、父は死ななかったのではないか、という後悔と、自分の無力さに打ちひしがれる思いは、ずっとある。 けれど、父が自分の身代わりにならなければ、シリウスこそが死んでいたわけで、今ある幸せを感じられることもなかったのだろうと思う。 シリウスは、自分にその身を捧げてくれたような父に最大限の感謝をしながら日々を生きねばと思っているし、同時に、やはり罪悪感のような気持ちもぬぐいきれなかった。 シリウスは、アークにナディアとの結婚を反対されて以降、父が亡くなるまでは反発ばかりしていて、最後の会話なんて喧嘩別れの言葉だった。「こうすればよかった」「ああすればよかった」という後悔は尽きない。 父に会いたくて、何度か「死者蘇生の魔法」は試したものの、門番のはずのアークは全く応えてくれない。 もし、シリウスが死ぬまでアークが門番のままでいてくれるのならば、向こうで謝りたいのと、「父さんがいたから俺は幸せになれた」と言って、「ありがとう」と伝えたい。 父アークがいなくなって約九年。家族周りには父に話したい出来事が山のように、本当に色々と起こっ
急いでいる時は魔法で服を吹っ飛ばして行為に及ぶこともあるシリウスだが、今回は最初から丁寧にするつもりらしく、まずはキスから始まった。 チュクチュクと口内をねぶられて吸われ、舌がからまり合う音が二人の部屋に響く。性器を受け入れることもだが、キスはお互いの体の一部を明け渡すことで、自分の気持ちも一緒に相手に捧げられるように感じられて、ナディアはとても好きだった。 そんなことを考えてしまったせいか、ナディアは早くもシリウスのペニスを口で受け止めてしゃぶりたくなってしまい、キスされながら服を脱がせられておっぱいを露出させられる傍ら、自分は彼の股間に手を伸ばしてシリウスの服をそこだけ乱し、そそり勃つ立派な男根を外気にさらして手で擦り始めた。「気持ちいいよナディアちゃん……」 シリウスはナディアの胸の頂きに吸いつき舌を這わせながら、時々口を離して吐息を漏らし、色っぽい声で喘いでいる。 猛烈な色気を醸し出すシリウスに当てられて、ナディアの局所もこの人が欲しいとビチャビチャに濡れてくる。 嗅覚でナディアの愛液が漏れ出していることに気づいたらしきシリウスは、胸を揉んでいた片側の手を下ろすと、ショーツの隙間から手を侵入させ、指で秘芽と秘裂を捉えて愛撫を始めた。 シリウスは、長年意識のないナディアに悪戯を仕掛け続けたこともあってか、手淫が目茶苦茶に上手い。 ナディアの弱点とも呼べるクリトリスを指先で刺激し、どこをどうすれば良くなるのかわかりきっている膣内を、挿入した二本の指を動かして巧みに責めてくる。「あっ……! もういっちゃ……っ! あぁぅっ!」 大好きなシリウスの指に、大事な場所を気持ちよくいじられている満足感と安心感から、ナディアはそれほど経たずにすぐに果ててしまい、指を中で咥え込むようにきつく締めつけながら潮まで吹いて達した。「濡れちゃうね。全部脱ごうね」 ぐったりとしたナディアの体を支えながら、シリウスはナディアの火照った体にキスを落としつつ、全ての服を脱がせると、自身も全裸になった。 大きな陰茎に目が釘付けになっているナディアに気づいたシリウスは、ナディアに四つん這いになるように言うと自分はベッドの上で膝立ちになり、ナディアの顔の前に巨根を突き出してきた。 ナディアは喜び勇んで大きな肉棒に吸いつき、手も使いながら舌や頭を動かして、夢中
ヴィクトリア姉様が子供を生んだそうなので、ナディアは番であり、義父アークの喪が明けてから婚姻届を提出して夫にもなったシリウスと共に、かつてお世話になった異母兄ロータスたちの家にお邪魔した。 どうしてこうなったのか、ナディアは死んでいた時があったので経緯はよくわからないが、ヴィクトリアは故郷の里の元住人で幼馴染のアルベールと番になっていた。 二人が番になったと聞いた時は、「なんでリュージュじゃないのーっ!」と、ナディアは驚いて叫んでしまっていた。 アークの葬儀や、人間の「ナディア」として擬態するための様々なことなどが一区切りついた頃に、彼らの元へ向かった時には、それなりにアルベールと幸せそうに暮らしているヴィクトリアがいて、ナディアは心配が杞憂に終わったようだと知って安堵した。 ナディアが故郷にいた頃の記憶では、アルベールは里にいるその他大勢のろくでなし連中と同じく、傲岸不遜で暴力的で意地が悪くて、あまり仲よくしたくない類の男だった。 けれど数年ぶりに再会してみると、「ヴィクトリアは俺のもの」的オーラを振りまきつつ独占欲は垣間見えながらも、アルベールは産後で体調が優れないヴィクトリアを常に気にかけるような優しさを発揮していて、始終笑顔全開のデレッデレな状態にもなっていて、とても幸せそうだった。 正直、こんなによく笑顔を見せる男だっただろうかと、印象はかなり様変わりした。 その後に、ナディアはヴィクトリアが生んだ、彼女によく似た綺麗な顔立ちの赤子と対面した。ヴィクトリア譲りの神秘的な銀の髪も持つ、アンジェと名付けられた生まれたばかりのその女児は、とても小さくて、有り得ないくらい可愛かった。 アンジェ抱っこさせてもらうと、自分の子供でもないのに、ナディアは体の奥から愛しさがこみ上げくるのを自覚した。 アンジェの瞳の色はアルベールと同じ金色で、『二人の愛の結晶なんだなぁ』ということもしみじみと感じた。 ナディアはその後、現在暮らしているブラッドレイ邸に帰宅してから、「私も赤ちゃんが欲しいな……」と思わずつぶやいてしまったが、「じゃあ作ろうか」とシリウスにさらりと言われて、少し戸惑った。「でも、レオもジークもまだ赤ちゃんだし、もう少し先でもいいかな」 番を失った義母のロゼは体調が優れない日もあって、ナディアがシリウスの下の弟たちの母親代わりを務める
門番から鍵を奪い、「冥界の門」の内側に入ったアークの視界は、何もない、一面の暗黒に覆われていた。 しかし暗闇に包まれていたのは、一瞬にも満たないようなわずかな時間だけで、あっという間に肉体が侵食されて崩壊し、苦しみも感じずに死んだ後は、一転、周囲からの温かな光を感じた。 肉体が滅び、幽体だけの状態となってまぶたを開ければ、見渡せる限りの地面には草原と花畑が茂り、上を見れば澄んだ青い空がどこまでも広がっていて、彩りに満ちた常春の世界にアークは立っていた。 死者となり冥界の住人になったことで、生きたままでは見えなかったものが見えるようになったようだ。 幽体の彼は死んだ時の年齢ではなくて、大好きすぎる長男ジュリアスの年齢に近い、二十代前半頃の若い容姿に戻っていて、銃騎士隊の隊服を着たままだった。 巨大な「冥界の門」はすぐ近くにあって、自分のそばには鍵もある。 アークは魔法を使って、扉の外に出てしまった「こちら側」由来のものをできる限り中に引き込むと、扉を動かして門を閉じ、鍵を鍵穴に差し込んでガチャリと施錠した。 扉を閉じている最中も、今も、「あちら側」で死んだ魂が次々と扉を通って、「こちら側」へやって来ていた。 死んで「冥界の門」をくぐると、彼らは輪廻の仕組みを思い出すようで、この世界に迷いなく降り立つと、「あの世」の端に位置する「冥界の門」から離れ、先へと進んで行く。 アークもそうだったが、幽体だった時の記憶は幽体になることでしか思い出せないようで、いずれ「この世」に転生すればまた忘れてしまうのだろう。 アークは巨大な「冥界の門」が建つ、苔生した石造りの土台に腰を下ろした。 通りすぎる死者たちがちらちらと彼の持つ門の鍵を見ている。 鍵で門を開き現世に戻れば生き返れる場合もあって、未練を残す者たちに鍵を奪われる可能性もあったが、そもそも魔力がなければこの鍵は扱えない。 それに精神の世界とも呼べる「あの世」では、魔法使いは最強であり、やろうと思えば対象の魂を滅して二度と存在できないようにすることも可能だ。魔法使いを脅して門を開けさせようとする不届き者も、あまりいない。 アークから少し離れたところにはシドの魂がいて、しばらくこちらを凝視していたが、どうやらアークには勝てないと悟ったらしく、他の魂と同様に、奥へ向かう人々に混じり去っていっ
とにかく人がたくさんいる場所に行けば何とかなるだろうと思った元門番の男は、首都がある方向へ向かった。 ところが、彼の予想に反し、シドが暴れ出した情報が独り歩きした結果、「暴れ出したシドによって大量殺戮が始まってる」とか、「シド率いる大勢の獣人たちが現れて首都一部壊滅状態」とか、首都では正しくない情報であふれていて、シドの処刑は既に執行されたにも関わらず、偽情報に踊らされた人々は大混乱に陥っていた。 デマではあっても命の危機が迫る情報によって、逃げようとしたり、家に閉じ篭もって恐怖する人々が大多数で、愛の営みをしている者たちが全く見つからない。(こんな状態で、真っ昼間から悠長にセックスしとる奴らなんて、おるわけないか……) 彼は絶望的な気分に襲われながらフラフラと空中をさまよっていたが、ふと、「あの世」に引っ張られる力とは別方向の力がグッと自分にかかったのを感じて、ハッとその方向を見た。「もうすぐ新しい命が宿る場所」を示す、例の光が発生している場合、魂をそこに引き込む力も同時に発生する。(最中の奴らがおる! 天の導きや!) 彼は歓喜しながら、導かれる方向へと急ぎ向かった。 ******「孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕め孕めえぇぇぇッ……っ!」「あぁっ! あ゙っ! おんぐっ! お゙ん゙っ! ぉんおお゙お゙っ! おゴォっ! ほごぉおおお゙ッっ……!♡」 たどり着いた先では、黒髪に、銀色という珍しい瞳の色をした筋肉質で大柄な男と、二十歳前後ほどの黒髪の女が部屋の中で交わっていた。 が、男は吐精直前の激すぎる突き上げの最中でも女の首を掴んで締めているし、女の方も足先をバタつかせてはいるものの、今にも白目を剥いて気絶しそうなその表情には、隠し切れない恍惚の色が浮かんでいた。 二人は完全に出来上がっているが、いきなりそんなハードプレイ場面に出くわしてしまった元門番の男は、ドン引きしていた。 彼は引っ張られる力に従い、首都の一角にある大豪邸にやって来ていた。商人をしていた前世の記憶を頼りに、そこがアンバー公爵邸であることには気づいたが……(ここ、公爵家? ホンマに公爵家? 凌辱の館とかじゃなくて?) 由緒正しき公爵家の一室で繰り広げられている、殺人現場もかくやという光景には唖然とする
それは日付が変わり、獣人王シドの処刑が予定されている日の夜の出来事――「こんばんは、レベッカ・ライト侯爵夫人。月が綺麗ですね」 聞いただけで心が洗われるような美しい少年の声がその場に響き渡るが、後ろめたいことがあったレベッカは、かなり驚いてしまって、ビクリと大きく体を震わせた。「セ、セシル様……」 振り返り、そこにいた人物の名を呼ぶ。少年――セシルはにっこりと、完璧な微笑みをレベッカに向けた。 レベッカは次期宗主配セシルと顔見知りではあるものの、そこまで親しくはない。彼女にとっては、少年であっても美しすぎる男は苦手だったから―― セシルとはたまに会う社交場での表面的な付
ナディアはロータスとマグノリア夫婦の家に滞在することになった。 いつまでとは決めていない。二人とも好きなだけいてくれていいと言うので、ナディアはしばらく甘えさせてもらうことにした。 ずっとお世話になりっぱなしも悪いので、いつかは必ず独り立ちしようとは思っている―― クロムウェル――ロータスとマグノリアが名乗っている偽の名字――の家では、かなりのんびりさせてもらった。 人間に化けたロータスは自宅にこじんまりとした医院を開いていて、辺鄙な村で人口は少ないはずだが、需要はあるようでお客は途切れない。ロータスの仕事を時々マグノリアも手伝っていて、二人とも仕事に家事にと忙しそうだった。 そ
「早く行ってください」 「う、うん……」 ノエルが後ろにいる人物をちらりと見やって声をかけると、彼はコクコクとうなずいてから近くの建物へと走って行った。 するとシリウスが動いた。走るゼウスに向かって雷の矢を何本も放つが、彼に届く前にノエルが風魔法で全てを地面に落とした。 「ノエっ! 邪魔をするな!」 「兄さん! やめてください! ゼウスは私の大切な友人なんです!」 「黙れっ!」 いさめてもシリウスの怒りは全く収まらない。雷の矢が駄目ならと、今度は天空から雷を落としていて、激音が周辺に響く。その攻撃は避けられていたが、シリウスは本気でゼウスを殺そうとしていた。 「ハロルドォ
ハロルドは支隊本部の集会室で雑魚寝中だった。 集会室は学校でいうところの体育館のような場所であり、隊の活動以外でも、島民の避難所として使われることもあるかなり広い部屋だ。 現在はゼウスを中央に置き、その周りを囲むようにハロルド、支隊長フランツ、副支隊長専属副官のリオル、そして頼れるオネエこと副主幹ショーンの寝床が、四方に位置していた。 最初はこの輪の中にカイザー副支隊長もいたが、あまり長く持ち場は離れられないと、自分の担当する島へ帰ってしまっている。リオル副官は貸し出し中だ。 しかし現在フランツ支隊長の寝床は無人である。なぜかというとハロルドの寝床にフランツが侵入して寝入っているか







